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「もの食う人びと」    <読書研究室>

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「もの食う人びと」 辺見 庸 著。
1994年だから、かれこれ20年近く昔に書かれたこのルポルタージュを、今年80歳になったおふくろにもらいました。 
これは読んどいたほうがいいって、もう4~5冊も人に配ったというのですが、いやはや年寄りの言うことは聞くもんだという、強烈なインパクトでした。

 世界中の 紛争地帯、貧困地帯、犯罪地帯、後進国と先進国・・・・ 東京に暮らす私たちならとても食べ物がのどを通らないような境遇で、人間は生きるために食事をします、平然と。
そんな食べるという日常を通して見た、人間の悲しみの本質が、この本には書かれています。

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来る日も来る日も45度を超える気温の中、何も育つことのない土地にしがみつく人びと、未来がやってこない悲しみ。 来る日も来る日も死が訪れるのをただ待つ悲しみ。
社会が社会にはならず、国が国になれず、人が人でいられず、家族が家族でいられない悲しみ。 

人間としての約束事のない、動物と同じように力づくだけがルールの土地、そして、その原始の世界に持ち込まれる近代の武器の数々が、悲しみをエスカレートさせていきます。
1億6千万ドルの人道援助を届けるために費やされる、15億ドルの国連軍事費、ヘリコプターの影を見上げながら、帰る場所のない人々。

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ペットブームの昨今、アジアの猫用缶詰工場、猫用缶詰5つ分の日当のために8時間立ちっぱなしで働く娘たちの生活。 そして、それを知っている悲しみ。

宗教が違うからという理由で、見知らぬ他人と殺しあう、自らで引いた国境のために殺しあう悲しみ。 言葉が分からない、気持ちが読めないために引かれる引き金。
戦争の中で生き残るための狂気と、その記憶を背負って、一生、生きて行かなければならない悲しみ。
 
そして、チェルノブイリ・・・・・

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一つ一つの悲しみのエピソードには、どうしてそうなってしまうのかというイキドオリと、どうしてもそうなってしまうという、人間とこの世界の悲しみが描かれています。
そして、そのどうしようもない悲しみの中でも、彼らはものを食べます。
決まった時間に、何事もなかったように。


おふくろは、いわゆる戦中派で、疎開先の台湾で終戦を迎え引き上げ船で帰ってきたといいます。
戦後間もなくの何も食べるもののない暮らしから、高度成長期、そしてバブルと、目の回るようなダイナミックな人生。 きっとこの本のどこかに、重なるところがあったのかもしれません。


ぬるま湯な自分の人生が、少し恥ずかしくなる一冊でありました。



  荻窪生活研究所
 

 
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